人生100年戦略に対する健康の概念 ~うつ病を考える~

人生100年戦略において、健康資産は非常に重要です。
 100年生きるとは言っても、寝たきりで余生を過ごす、精神面が非常に不安定な状態でつらい毎日を過ごすのはとても大変なことでしょう。

前回の投稿ではDALYという考え方と、予防、改善するべき疾患に対して少し言及して終わりました。今回はDALYが日本において最も大きいとされる精神疾患、中でも「うつ病」は国民病の様相を呈しているのではないでしょうか?職場にもうつ病で短期的に離脱する人が少なくなく、対策のためにメンタルヘルスの講習が開かれる職場も多いのではないでしょうか?

 今回の投稿では「うつ病」を厚生労働省ホームページ、NHS(イギリスの厚生労働省のような機関)から得た情報をまとめて、それらの「原因」「軽度なものに対して実践できる改善、予防方法」を記載していきます。追って有用そうな論文の情報などをお伝えしていく予定です。

はじめに

 うつ病は、「精神の問題」「意志の問題」「気持ち、心構えの問題」ではなく、脳の疾患に分類されるそうです。
 ということで、風邪、ケガ、身体的な病気にかかった時と同様に、「脳の疾患」であるうつ病も、病院で治療をする必要があるでしょう。ですので、以下で述べる改善法や予防法はあくまで「気分が落ち込んでいるときに実施すると効果がある」といった程度のものですので、本当に精神的にひどい落ち込みがある方は、専門機関で受診された方が良いかと思います

うつ病とはどんな状態か?

 NHSによると1日の大半で憂鬱な気分を感じ、それが連続で2週間以上続いた場合、うつ病であると考えられるそうです。ということで、この状態を自覚する方は、専門機関の受診をする必要があろうかと思います。

うつ病の分類と原因

厚生労働省のHPの情報によると原因からみて外因性、内因性、心因性分ける場合があるそうです。
【外因性】
 アルツハイマー型認知症のような脳の病気、甲状腺機能低下症のような体の病気、副腎皮質ステロイドなどの薬剤がうつ状態の原因となっている場合をいいます。
【内因性】
 典型的なうつ病であり、治療しなくても一定期間内によくなるといわれます。
【心因性】
 性格や環境がうつ状態に強く関係している場合です。仕事や対人関係、経済的なストレスや家族の問題などが引き金となるそうです。

日本でのうつ病人口

 厚生労働省の発表では日本におけるうつ病の12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)が1~2%、生涯有病率が3~7%とされております。日本の人口1.26億人を考えると、日本では生涯で875万人(最大で)の人がうつを経験するようです。世界で見るとうつ病の12カ月有病率(過去12カ月に経験した者の割合)は1~8%、生涯有病率(これまでにうつ病を経験した者の割合)は3~16%であることから、日本のうつ病発症率は少し低めであるかと思われます。

うつは自身で改善させられるのか?

 結論から申し上げれば、予防策は講じられても、治療改善は自分自身だけではできないと考えられます。理由は以下の通りです。
 外因性のうつは、脳の外傷によって引き起こされることを考えると、専門のお医者さんに診てもらわなくては問題は解決しないでしょう。また、「内因性、心因性」であっても、慢性的な抑うつ状態に陥っている中程度から重度の場合でも自身で解決を図ることは危険かと思われます。NHSはうつ病の重症度を以下のように軽度、中程度、重度と分類しており、軽度のものであれば、自身で改善を図る策を公表しています。
・軽度:抑うつ状態が日常生活にいくらか影響する
・中程度:抑うつ状態が日常生活に顕著に影響する
・重度:日常生活を送ることがほぼままならない
 ここで注意しておきたい点は、この程度判断も専門家の受診が前提になっているようですので、精神的な不調がある方は、専門機関に受診し、程度を判断してもらい、そのうえで自分で改善を図る行動をとってよいかを相談をしていく必要がありそうです

日常でできる改善方法

 NHSのHPでは軽度のうつ病に対して以下の自分でできる改善法を紹介しています。
・様子を見る
2週間ほどで状態が落ち着くかを確認する。その後、専門機関を受診し、状況を判断してもらう。
・運動する
軽度症状に対する主な治療方法であり、運動が改善に役に立つという様々な証拠があるそうです。
 こちらのサイトでは、運動療法に関する指標を記載しています。運動は定期的に、そして自分に合った楽しめるものなら何でもよいということです。中程度(心拍数と息が上がるということが自覚できる程度)の強度の運動を週に二時間半程度行うことがうつ病の症状の改善に良いそうです。
 WHOのサイトで、中程度の運動の種類が示されていました。「早歩き」、「ダンス」「ガーデニング」「家事」「犬の散歩」などがこれにあたるそうなので、日常のふとしたことをきっかけに運動することもよさそうです。もちろん週に二時間半の運動が大変という場合は徐々に運動の時間を増やすこと、もしくは公共交通機関を使う代わりに徒歩移動などでも効果はあるそうです。
・Self-help(日本語にすると自助ということ)
自身の気持ちなどを話すことで改善が図れるとのことです。友人、知人、そして専門のカウンセラーなどに話を聞いてもらう問いことも有用であるそうです。
・メンタルヘルスアプリを使用する
NHSではメンタルヘルスのアプリがあるそうで、ダウンロードして用いることができるようです。日本語のアプリも別のサイトにありました。瞑想の導入用のアプリやストレスのチェックをするアプリなどあるそうなので、使用することでストレスの管理ができるかもしれません。

うつとともに生きる(怪我の功名的生活変化)

 こちらもNHSの情報ですが、多くの人はうつを経験して生活を変える(運動、飲酒量の制限、禁煙、食生活改善など)そうです。そしてこの生活様式の変化こそが、生活の質の向上に結び付いており、肉体的な健康を手に入れる一つのきっかけになる可能性を示唆します。
 けがの功名的な考え方ですが、一時的な精神的(実際には脳)の疾患によって、健康寿命を延長させるきっかけが手に入れられたと考えるならば、ただの「うつ病の発症」ではなく、「生き方改革の号砲」という形で非常に前向きにとらえることもできるのではないでしょうか?
 うつ病は国民病であり、それが人の人生を狂わせる原因になると考えることもできます。うつ病で悩み、苦しんでいる方も大勢いらっしゃるでしょう。しかし、治療を経て復帰をすることで、今まで以上の健康を手に入れるきっかけになるという考え方もできると思います。肯定的にとらえ、自らの健康をさらに向上させるチャンスにしてみるのも良いかもしれません。