世界のニュースを日本人は何も知らない ~能動的な情報収集のすすめ パート2~

今回ご紹介する書籍 (前回の続きです)
谷本真由美 著『世界のニュースを日本人は何も知らない』 ワニブックス PLUS 新書

 前回からの続きです。前回までは日本のメディアが国内向けに偏向した話から、日本の治安が良いこと、さらに創造性の高い人が働く地域は経済的な成長が大きいことなどの論述をまとめていきました。今回は第4章以降のまとめになります。

各論 第4章:世界の「最新情報」を日本人は何も知らない

【黄色いベスト運動の拡大はFacebookの影響】
 皆様もご存じの黄色いベスト運動。自然発生したわけではないそうです。Facebookのアルゴリズムが2018年に変更されたことに伴い、それまでニュースフィードで全国的なニュースをシェアしていたものが、ローカルニュースや友人知人のニュースがシェアされるようになったそうです。黄色いベスト運動は、ポルトガルのレンガ職人が「怒りのグループ」を発足し、反政府デモ活動を行ったことに端を発します。Facebookのニュースフィードによって活動がシェアされたことをきっかけに、「よし、我々も今の現状に物申そう」となって黄色いベスト運動がフランス全土に広がったというのです。
【貧困の差が広がるフランス】
 フランスの人口比率で約13%は貧困層だとされています。なんと月に13万円程度の収入しかない(しかもフランスは物価がかなり高い)そうです。確かに街中ではホームレスがお金や食べ物を要求していました。
【今の世界はフランス革命前夜!?】
 本書とは別の書籍になりますが、フランスつながりで大村大次郎 著「お金の流れでわかる世界の歴史」という書籍も少しだけご紹介。この本の終盤で述べられているのですが、現在の世界は、フランス革命の直前と同様の状態を呈しているそうです。フランス革命は、重税に耐えられなくなった民衆の不満が爆発し、王制に対して反乱を起こした事件です。
 歴史、国家の衰勢は、基本的には「富の集中/富の散逸」によっておこるとされています。国家の衰退(古代エジプトから現在までを通して)はすべて共通して「税制の腐敗」「既得権者のお金の抱え込み」が原因だとされています。現在、タックスヘイブンによる税金逃れ、官僚機構の腐敗、政治とメディアの癒着など様々な問題の裏に、既得権者優位なルール作りが横行していると言っても過言ではなく、貧富の差からくる不満が爆発し、大掛かりなデモが今後も世界各地で起こることが示唆されています

各論 第5章:世界の「教養」を日本人は何も知らない

【アンチエイジングをする日本、加齢を前向きに考える外国】
 日本ではアンチエイジングが流行っていますが、世界では年を取ることにポジティブにとらえているそうです。人間も建物も時間を経るごとに価値を増やすという考え方があるのです。この考え方は、ビートたけし 著「さみしさの研究」には、ワインもブランデーもエイジングという熟成期間を経て価値を上げるという旨の記述があります。このように哲学的な思考を持っている人は、加齢に対してポジティブな考えを持っているように思えます
【結晶化する知識と流動する知識】
 知識には結晶性知能と流動性知能の二つの種類があるそうです。前者は知識の集積によって増強するもの、後者は記憶力や発想力などだそうです。つまり前者は学ぶ期間が長いほど優れたものになるということで、学び続けていれば60代になるまで成長が続くようです。これらを考えると、無理に若々しさを保つ努力をするよりも、成熟していくことに焦点を当てて生きてくことに勇気が持てるかと思います。

【効率化は経済発展の源泉である”創造性”を殺す】
 著者は「創造性」を非常に大切なものとして扱います。第2章にも記載があったのですが、例えばシリコンバレーには創造性の高い人々が集まっており、経済発展が著しいといいます。すなわち、経済的な発展を目指すならば、創造性は不可欠であるということです。昨今の「働き方改革」では労働者に効率を求めます。効率的な働き方も、無駄を省きすぎれば新たな発想を具現化する挑戦を妨げることにつながる可能性があり、著者は創造性の低下とそれに伴う経済的な衰退を危惧しています

各論 第6章:世界の「国民性」を日本人は何も知らない

【日本人は満遍なく賢い】
・イタリア、アメリカ、フランス:30%
・日本:10%未満
この数値は、「初歩的な読解力と計算力が身に付いていない人の割合(16 ~ 24歳を対象に)」の割合です。日本は際立って低いことがわかります。これは、日本の初等教育機関に従事する先生方や、親の教育の賜物だといえるでしょう。また、日本の高校進学率も非常に高いそうです。
【日本の学費は高い?安い?】
 日本の高等教育無償化が議論されていますが、現状その金額は諸外国と比較すると、アメリカと比較するとずいぶん安いようです。
アメリカ:公立で年間生活費込みで700万円、私立で800~1000万円
日本:私立理系で150万円、公立で約60万円
欧州:無料。ただし留学生には年間300万円(イギリス)、150万円(オランダ)、200万円(デンマーク)

比較すると、アメリカは際立って高く、奨学金で破産するケースも珍しくないようです。バーニーサンダース氏が大統領候補戦で奨学ローンを無料にするとマニュフェストを立てたときに貧困の若年層からの熱烈な支援があったのもうなずけます。
【日本の入試は非常にフェア】

 日本の入学試験はペーパーテストを課す大学がほとんどですが、アメリカやイギリスの大学ではペーパーテストに加えて「課外活動」「家柄」「コネクション」「寄付額」が入学の如何を左右するそうです。この点では資本主義に走りすぎている気がしますが、資本を持つ人々が優先的に高等教育を受けられるようなシステムが存在しているようです。そして日本もAO入試など、学力以外の評価項目で入学の如何を決定できる枠ができ始めていることは、今後の日本の入学試験もアンフェアな形に進むのではないかということが危惧されるところです。

各論 終章:世界の重大ニュースを知る方法

 著者は様々なところから情報を入手します。その中で偽情報を信じないための基本的なノウハウが終章に書かれています。
1. 信頼できる情報ソースから情報を入手する
中央政府、地方自治体が公表している公文書、クオリティペーパー(新聞)、論文などから情報を集める
2. スポンサーがついているインフルエンサーは信用しない
彼らは説明責任を持たず、スポンサーが得をするような情報発信をしがちなため
3. 本を大量に読む
必要としている情報を効率的に入手できるように訓練する。まずそのためには読書の数をこなし、どのような内容がどの本に書かれているのかを推察できるようにする
4. クリティカルシンキングを身に付ける
情報は本当に正しいのか、情報を提示するタイミングがなぜこの順番になっているのか等、情報ソースと対話するように情報を入手できるようにしておく。

 以上のように、効率よく信頼できる情報を入手し、世界で何が起きているのか正しく判断することが大切です。

感想

 世界の情勢を知らずして、日本を判断できないことを考えれば、海外のニュースで何をどう報じているのかという情報を集めることは必須であると感じました。今までは日経新聞を読むだけで満足していましたが、それ以外にもNEW YORK TIMESなどの海外の新聞にも目を通す習慣を身に付けていきたいと思います。
 世界を知り、日本の良いところは文化として残し、悪い点は海外に倣い改善していくというスタイルをとれば、日本ももっと輝ける国になると期待が持てるような内容でした。
 本書にはこのブログに書ききれなかった非常に面白い情報がまだまだ満載です。興味を持たれた方は一度ご一読してみてください。