世界のニュースを日本人は何も知らない ~能動的な情報収集のすすめ パート1~

今回ご紹介する書籍
谷本真由美 著『世界のニュースを日本人は何も知らない』 ワニブックス PLUS 新書

こんな人にオススメ
・日本のメディアから得られる世界情勢に関する情報に物足りなさを感じる
・世界と日本の違いに興味がある
・日本に対して閉塞感や不満を抱くことがある
・創造力を活かした生活をしていきたい
オススメ度:85/100

【本書の説明と流れ ~概論~】
 この書籍は元国連専門機関職員の谷本真由美氏が自らの経験と友人から聞いた体験談、そして谷本氏の情報収集をもとに、世界各国(特に欧州と北米)と日本の文化や経済的な環境の差を対比させるような形で論述されています。本書は序章、終章を含めて以下のような8章構で構成されています(オムニバス形式のようになっており、章ごとのつながりはありません)。
・序章:日本で報道される報道の内容が、世界でいうところのゴシップ報道程度の情報ばかりであり、このようなとるに足らない報道内容になってしまった理由を、日本人の情報に対する捉え方を軸に論述します。
第1章:世界の政治に関しての論述があり、特に中国がアフリカに仕掛けるメディア買収などの話題が興味深い内容です。
第2章:国連という世界の中枢のような期間は、実は町内会と同様の面倒ごとの押し付け合いであるという論述から、日本の恵まれた環境(経済、治安)に関する記述などがされています。
第3章:リベラルな印象を受ける欧州も、移民排斥などの考えが台頭し始めていることなどを述べます。
第4章:黄色いベスト運動はFacebookのアルゴリズムが変更され、ローカルニュースを優先的にシェアされるようになった結果、各地で黄色いベスト運動のチームが発足され、フランス全土を巻き込む大きな流れができたことなど、ニュースの背景にSNSなどのテクノロジーがきっかけになったことを述べます。
第5章:創造性を駆使して生きることの大切さを述べます(この辺りから「ニュース」とは関係が薄くなってきます)。
第6章:世界と日本の国民性の対比、中でも借金の額や教育の行きとどき方が日本は優れていることを示唆します。
終章:世界の重大ニュースを知る方法に関して論述があります。

 全体を通して、客観的に判断できるデータに基づいて考えると日本がかなり恵まれているということが浮き彫りになります。そのため、日本の現状に対してため息をつき続けている方々には一読の価値があるかと思います。
 日本が恵まれているとはいえ、やはり日本にも閉塞感があることは事実です。その原因がAI技術の台頭による業務効率化が推し進められ、人々から創造性が失われていることが原因だとする論述もされています。さらに、創造性の高い人々が集まる国と地域(シリコンバレーを引き合いに出し)が経済発展を続けていることにも言及します。つまり、日本にも創造性を育む取り組みが今一度見直される必要があるのではないかと考えられます。このような内容に興味がある方はぜひご一読ください。

以下各論 各章で面白いと思った一節をご紹介します。

各論 序章:日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか
 日本のニュースは「芸能人の不倫」「芸能人の不祥事」などの内容に多くの時間が割かれている状態です。世界では、このような内容はゴシップ新聞に書かれる程度であり、大手の新聞やニュースでは世界情勢や経済に関する報道がメインでされているようです。なぜ、ゴシップ記事程度の内容が日本のメディアで報道されるのかという理由について、著者の考察では日本人の興味、関心が国内に向いていることを指摘します。報道も商売でやっている以上、発行部数や視聴率を気にします。日本人の興味を引く内容を報道する結果、報道がゴシップ記事のようになってしまうということです。これは、前回の筆者のブログの内容にも載せたように、日本人の多くが、国内、ひいては自分の内側に対してばかり興味を割き、外の世界に目を向けていないこととも無関係ではないと考えられます。
 また、日本におけるインフルエンサーを介したマーケティングは非常に強力で、海外ではこれほどまでに大きな力を持たないそうです。この事実からも、日本人が「長いものに巻かれる」「権威に依存しやすい」気質が浮き彫りになります。このような気質から、日本人は世界の情報を能動的にとりにいかず、受動的に興味のある情報のみを受けているということがわかります。

各論 第1章:世界の「政治」を日本人は何も知らない
 日本ではなじみの薄い情報が、世界では非常に詳細に報道されている背景の一つとして、かつての植民地の影響を著者は指摘します。例えば、アフリカ諸国はかつてヨーロッパ諸国の植民地だったこともあり、現地に二世、三世のヨーロッパ人が住み、逆に植民地からヨーロッパに移り住み、二世、三世になった人たちがいるそうです。そのため、彼らのネットワークを介して現地の情報を比較的簡単に手に入れるられるということです。日本では報道されないニュースの一つとして、著者は中国がアフリカ諸国に対してメディア買収を仕掛けていることを挙げていました。中国はメディアを買収し、中国が有利になるような報道を仕掛け、特にボツワナの世論を操作するような行動をとっているそうです。これをソフトパワーによる支配と定義し、中国支配が広くアフリカにも及ぼうとしていることを指摘します。世界ではこれらの報道がされているにも関わらず、日本では報道されないのは驚きであり、情報に関しては先鋭的な国ではなという印象を受ける一文でした。

各論 第2章:世界の「常識」を日本人は何も知らない
 著者は旧職から、国連総会の実態をご存じのようで、その内容を町内会のようだと述べます。その特徴が羅列されておりますが、中でも「取り決めには強制力がなく大ゲンカになることがある」や「みんな本当は辞めたい」という文言に目を惹かれました。国連は、世界政府という様相ではなく、戦勝国と敗戦国が集まって、二度と戦争を起こさないようにする会のようなものだそうです。この点も、自ら調べたり国連の内容を把握していないと理解できないことだと思います。
 日本は治安がとてもいいという点も著者が指摘する事項の一つです。例えばイギリスではドアツードアでロンドン市街に1時間で通勤できるワンルーム(11畳)の物件を借りようとすると月々15万円ほどかかるとのことです。日本では東京の郊外まで出れば4~5万円でも同様の条件で物件を借りることができることを考えると中々の高額です。イギリスでも、治安の良しあしが直接値段に反映されるとのこと。つまり、身の安全は高額を払わないと守れないということです。一方日本は治安が良いため、郊外で安い値段のアパートを借りても安全に過ごせるということです。
 このように、世界と対比することで、日本が恵まれた場所であるということが認識できると思います。

各論 第3章:世界の「社会状況」を日本人は何も知らない
 異文化、宗教に寛容でリベラルなイメージの強い欧州も、実は現在、移民問題に端を発し、非寛容になりつつあるそうです。例えばイギリスの公立小学校がイスラム教を信仰する人々の手により運営が少しずつ乗っ取られ、イスラム教に肩入れをする趣旨の教育を行っていたことが明るみになり(トロイの木馬作戦疑惑)大きな問題となったそうです。もちろん、かなり大きな事件であり、ISによるテロ事件が横行しているにもかかわらず、日本では報道されていなかったことは驚きです。自国のイスラム化を危惧するイギリス人が増えてきているそうです。

長くなるのでここでいったん切ります。次回、続き4章の各論から終章まで解説いたします。

ここまでの感想】
 日本の新聞に目を通すだけでしたが、政治、世界情勢の記事も不満なく読んでおりました。テレビのニュースはもう見なくなって久しいのですが、ファッションや芸能ニュースの比率が多いという感想は漠然と持っておりました。そんな中で本書を読み、やはり自分から能動的に情報を取りに行く姿勢を持つべきだと考えるようにもなりました。特に「なるほど」と思ったことは、日本人が日本国内に目を向けてしまっているという点でした。もっと日本国外に、そして自分の外側に対して強い興味を持つべきなのではと改めて感じました。

世界のニュースを日本人は何も知らない ~能動的な情報収集のすすめ パート1~” への1件のフィードバック

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中