脳はバカ、腸はかしこい~腸内環境の改善で心身共に健康に パート2~

【うつ病の改善に欠かせない腸】

 皆様の中にもうつ病に関してご存じの方がいらっしゃるかと思います。うつ病は脳の病気であり、腸とは関係ないと思う人も多いと思います。しかし、腸内環境の悪化によってうつ病が引き起こされるリスクがあるというのです。
・腸内細菌がセロトニン、ドーパミンを作っていた!
脳が幸せや興奮を感じるのに欠かせない物質にセロトニン、ドーパミンがあります。これらの物質が脳に作用すると、安心感や興奮、やる気がわいてくるとされています。これらは食物から取り入れたたんぱく質に腸内細菌が作り出す酵素を作用させることで合成できるとされています。
「L-トリプトファン→セロトニン」、「フェニルアラニン→ドーパミン」
という形で合成を行う際に、腸内環境が整っていないと、肝心の酵素が作用しないため、思うように合成できないというのです。これらの欠乏によって脳が思うように働かなくなり、うつ症状を引き起こすとされています。
 驚くべきことに、セロトニンの約90%は腸内に存在し、残りの8%が血中を流れ、残りのわずか2%が脳内に存在しているといわれております。あれだけうつ病の予防改善に必要であるとされ、脳にとって必須の物質であるはずのセロトニンが脳ではなくむしろ腸から作られ、さらには腸内にそのほとんどが貯蔵されているというのですから驚きです。
 つまり、腸を鍛えれば安心感もやる気もわいてくるということです。
 しかしながら、現代の日本人は腸を傷つけるリスクを常に負っているというのです。脂っこい食事や、糖質を過度にとると、体内で発生した活性酸素種と脂肪酸、糖質が結合し、それぞれALEs(脂質過酸化最終産物)、AGEs(糖化最終産物)になり、これらがたんぱく質と結合することでたんぱく質の変性(異常)を引き起こします。ご存じの通り、体のほとんどはたんぱく質と水分でできているので、たんぱく質の変性で臓器や循環器に悪影響が出るのです。

【なぜ脳はバカ呼ばわりなのか?】

 ポテトチップスや甘いもの、コーラ、ビール、ラーメン、ハンバーガーなど健康に悪いけれども食べずにはいられない食べ物があります。皆様の中にも夜な夜なポテトチップスを開けてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?これは体にとって百害あって一利なしなのですが、なぜか悪いと思っていてもやめられないのです。
 この判断は脳が行っているのです。脳は体に悪いと知りながら、カロリーや糖質の高い食べ物を渇望するのです。これは脳の報酬系を一時的に満足させるための、脳からの指令であり、体の臓器のほぼすべては、体に高カロリーの食べ物が過剰に入ってくることを拒んでいるのです。腸はこの脳の指令に従った人間の行動の尻拭いをします

【脂っこい食事の後の下痢は防衛反応】

 腸はかしこいので、脳のバカな指令によって取り入れられた過剰な栄養を、下痢をすることで吸収することなく体外へ排泄する機能があります。油でギトギトのラーメンや焼き肉、揚げ物を食べた次の日に、おなかの調子が悪くなったり、下痢をした経験はありませんか?あれは腸が人体を守るために引き起こしているのだそうです。

【腸は脳の先輩】

 進化の歴史からすると、神経細胞が出現したのはヒドラなどの腔腸動物の腸の中であり、脳はその後生まれた器官なのだそうです。つまり、腸が一番最初に”考え、判断する”能力を獲得したことを考えると腸は脳の先輩だといえるでしょう。とりわけ人間の脳は、生物の中でも発達しています。爬虫類などが持つ原始的な脳である後脳(橋、延髄、脳幹、小脳)の上に中脳、大脳が増築される形で進化してきました。これは比較的無理のある進化の仕方であると著者は述べています。
 本書には、ノーベル経済学賞受賞者であるハーバート・サイモン博士の言葉を以下のように記しております。「進化はとりあえず満足を得ようとした結果である」と。脳も「とりあえずの進化」を遂げた器官であり、自分の報酬系だけを満足させればよいという極めて自分勝手でわがままなものになったのではないかと著者は述べています。

【腸はどうやって鍛えるか】

 腸を鍛えるには、腸内細菌の中の善玉菌と悪玉菌のバランスを善玉菌優位に変えてあげることが大切だそうです。そのためには糖質、脂質の多い食べ物の過剰摂取を控え、食物繊維を多く含む食品、オメガ3脂肪酸を含む青魚などを生で食べることを推奨されていました。さらに、著者は土壌菌をカプセルに詰めて飲むことで非常に体調が良くなったと述べていましたが、一般的な方法ではないので、真似はできないでしょう。その代わり、発酵食品をとることでも善玉菌を増やすことができるそうで、食生活と生活習慣を改善することで、健康な腸を取り戻し、心身ともに健康になれるということです。

【感想】

 腸にこれだけ多くの機能があることを、本書で初めて知りました。特にセロトニンやドーパミンは脳内で貯蔵されているという勝手なイメージがあり、腸内細菌の酵素で合成されるということは全く知りませんでした。本書では、上記の書評に加えて子育ての方法や健康に生きていく秘訣など、非常にためになることが多く書かれておりました。また著者の藤田先生はサナダムシを腹に飼っている、土壌菌を飲んでいるなど非常に面白い経験をしており、それらの経験から得られた知識もふんだんに本に盛り込んであります。
 腸と脳の対比により、人間の進化が果たして進化であるのか、むしろ退化したと考えるのか、人類の進化に関して一石を投じた書籍であると思います。
 本書の読書を機に腸内の環境を整え、体調、精神面の健康がどのように変化していくのかを観察してみようかと思いました、さっそくこれに影響されてしまったため、納豆とヤクルトをそれぞれ毎日とるようにしました。自分の体調の変化が楽しみです。

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